Yahoo!ニュース「再婚のトレンドを分析してみた 男女間に拡がる再婚格差、若年層は大幅に再婚件数が減少、高年齢層は微増」

70代の再婚は当たり前の時代?

先日、特撮ヒーロー『ウルトラセブン』でヒロイン役を務めたひし美ゆり子さん(77)と、『仮面ライダーアマゾン』の主人公を演じた岡崎徹さん(76)がご結婚されました。岡崎さんの結婚歴は明らかではありませんが、ひし美さんにとっては再婚とのことです。

日本の平均初婚年齢は、男性が31.1歳、女性が29.7歳とされていますが、高齢化の進行に伴い、再婚の年齢も上昇傾向にあるのかについて調べてみました。

図表1は、2023年の年齢階級別・男女別の再婚件数を示したものです。これを見ると、男性では35~39歳、女性では30~34歳の再婚件数が最も多く、男性のほうがやや高年齢で再婚する傾向が見られます。

年齢が上がるにつれて再婚件数は減少傾向にあります。たとえば、70代後半における再婚件数は、男性で838件、女性で402件にとどまっており、件数としては少数に分類されます。この数値だけを見ると、やはりひし美ゆり子さんと岡崎徹さんの再婚は少数派と言えるかもしれません。

図表1 男女年齢階層別に見た再婚件数(2023年)

「人口動態統計(2023)」
「人口動態統計(2023)」

男女間で大きく見られる再婚格差

だだ、図表1の結果では、年齢階級ごとの人口規模が考慮されていないので、年齢階級別に再婚率を算出してみました。(図表2)

この表を見ると、再婚件数が多い30代前半においては、人口の約1.2〜3%が再婚していることがわかります。

30代前半までは女性の再婚率が男性のそれを上回りますが、30代後半以降は男性が常に女性を上回り、全体的には男性の再婚率は女性のそれを大きく上回ります。60代前半では再婚率に2倍の差が付いており、男女間の再婚格差が伺えます。

おそらく、男性は経済力ゆえに再婚が優位に可能であるのに対し、女性はシングルマザーであるゆえの再婚に対するリスク回避意識や、経済的負担(子連れ再婚など)への懸念が、再婚を躊躇させている要因と推察されます。

近年、高齢の単身女性における貧困率の高さが社会問題として取り上げられていますが、こうした年齢層における再婚率の低さも、要因の一つとなっている可能性もあります。

図表2 男女年齢階層別に見た再婚率(2023年)

「人口動態統計(2023)」
「人口動態統計(2023)」

大幅に減少する若年層の再婚件数

時系列で再婚の動向を見た場合、再婚件数や再婚率はどのように変化しているのでしょうか。

図表3・図表4は、2000年から2023年までの男女別再婚件数の推移を示したものです。これを見ると、男女ともに多くの年齢層で再婚件数が減少傾向にあることがわかります。

特に、20代・30代における再婚件数は、2000年から2023年にかけて大きく減少しています。

例えば、

男性の30-34歳では、20,303件(2000年)→8.281件(2023年)

女性の30-34歳では、20,760件(2000年)→9.767件(2023年)

と、ほぼ半減しています。

この背景には、婚姻件数、離婚件数との関係でより詳しく見ていく必要がありますが、初婚年齢の上昇や晩婚化、未婚率の上昇による初婚・再婚件数全体の減少などが理由として考えられます。加えて、再婚に対するリスク回避意識や、再婚に頼らず経済的自立を目指すライフスタイルや価値観の多様化なども要因としてあるかもしれません。

図表3 男性の再婚件数の推移(2000-2023年)

「人口動態統計(各年)」
「人口動態統計(各年)」

図表4 女性の再婚件数の推移(2000-2023年)

「人口動態統計(各年)」
「人口動態統計(各年)」

微増する中高年層の再婚件数

全体的に再婚件数は減少傾向にある一方で、高年齢層においては減少傾向はあまり見られず、むしろ60代・70代ではわずかに増加傾向にあることが読み取れます。

例えば、

男性の70~74歳では、800件(2000年)→1301件(2023年)

女性の70~74歳でも、260件(2000年)→732件(2023年)

と、いずれも増加しています。

かつて高年齢層同士の再婚は、「年寄りの冷や水」として反対されるケースも多かったですが、近年の再婚は、「恋愛というよりも生活パートナー」としての安定志向が強いのではないでしょうか。特にリタイア後の生活設計や、病気・介護といった将来不安への備えとして「再婚」を意識されているケースもあるでしょう。

年齢層で異なる再婚の価値観

このように見ると、若年層と高年齢層では、再婚に対する意識や動機に大きな違いが見られます。

若年層においては、再婚件数が2000年から2023年にかけて大幅に減少しており、背景には晩婚化や初婚年齢の上昇、経済的な自立志向、そして再婚に対するリスク回避意識の高まりがあると考えられます。特に女性はシングルマザーであることが再婚のハードルとなりやすく、男女間で再婚率に大きな格差が見られます。

一方、高年齢層では再婚件数はむしろ微増傾向にあり、経済的・精神的安定を求める生活パートナーとしての再婚が重視されていると考えられます。老後の不安や孤独の軽減を目的とした再婚が一般化しつつあり、「70代の再婚」も特別なことではなくなりつつあるのが現状です。