Yahoo!ニュース「後期高齢者に人気の趣味ベスト10を調べてみた 圧倒的に多趣味で好奇心旺盛なのは男性よりも女性」

2025年は団塊世代(昭和22-24年生まれ)の人々がすべて後期高齢者(75歳以上)になります。
団塊世代は、初の戦後生まれ世代として若者の頃から新しい時代文化を切り開く世代として評価されてきました。例えば、フォークソングやグループサウンズ(GS)ブームに代表される音楽やサブカルチャーへの志向、政治意識の高まりや学生運動への参加、現在につながる消費文化の礎を築いたのも団塊世代のその数の多さゆえでした。
その団塊世代が、2007年には還暦、2012年には定年・前期高齢期(65歳〜)を迎え、そして2025年に後期高齢期を迎えることになります。
そこで、こうした新しい価値観を持つと言われていた団塊世代が後期高齢期となることで、従来の老人的文化がどのように変化しているかを、趣味の分野を通じて調べてみました。
後期高齢者男性に人気の趣味ベスト10
後期高齢者男性に人気の趣味のトップとなったのは「園芸・庭いじり・ガーデニング」で、趣味への参加率(行動率)は、33.7%という高い参加率となっています。多くの高齢者の住まいが戸建てで庭いじり環境が整っていること、また幼い頃は自然の多い土地に住んでいた方も多く、年を重ねる中で再びそうした環境に触れたいと考える人が多いことが理由であると考えられます。
そして2位は、「映画館以外での映画鑑賞」(行動率23.8%)でした。5位の「CD・スマートフォンによる音楽鑑賞」(行動率14.4%)と併せて、近年さまざまなサブスクリプション・サービスが増加してくる中で、このようなサービスを手軽に利用する高齢者が増えてきたのを窺わせるような結果であると思います。
4位「日曜大工」(行動率18.4%)、6位「写真の撮影・プリント」(行動率11.4%)、7位「スポーツ観戦」(行動率8.4%)などは、昔から男の趣味と呼ばれていたもので、それが現在もなお強い人気を集めています。
図表1 後期高齢者男性に人気の高い趣味

後期高齢者女性に人気の趣味ベスト10
高齢者女性に人気の趣味トップは、男性と同じく「園芸・庭いじり・ガーデニング」(行動率37.7%)でした。2位「趣味としての読書」(行動率21.3%)、3位「映画館以外での映画鑑賞」(行動率18.1%)、5位「CD・スマートフォンによる音楽鑑賞」(行動率11.2%)が、男女ともに人気の高いインドアの趣味と言えるでしょう。
女性に人気の高い趣味としては、「編み物・手芸」(行動率14.6%)、「和裁・洋裁」(行動率10.5%)、「趣味としての料理・菓子づくり」(行動率9.2%)などが挙げられます。
図表2 後期高齢者女性に人気の高い趣味

後期高齢者男性で人気が高まっている趣味
では次に、時系列で見た場合、どのような趣味の人気が高まっているのかを男女別に調べてみました。社会生活基本調査を平成18年から令和3年までの時系列で調べ、活動率が明らかに上昇傾向にある趣味を抜き出したものが図表3となります。
後期高齢者男性の活動率で、最も人気が高まっている趣味は、「映画館以外での映画鑑賞」、次いで「CD・スマートフォンによる音楽鑑賞」となっています。
次いで、人気が高まっているのが、「テレビゲーム・パソコンゲーム」で、近年のe-Sportsの人気を受けて、75歳以上でもこうしたゲームを楽しむ世代が増えてきたことを示しています。
また、活動率は5%以下ですが、「趣味としての料理・菓子づくり」や「楽器の演奏」などにも高まりが見られます。男の料理を楽しんだり、ギターやキーボードの演奏を楽しむ人々が増えてきたことは、団塊世代らしい趣味変化の特徴であると言えるでしょう。
図表3 後期高齢者男性で人気が高まっている趣味

後期高齢者女性で人気が高まっている趣味
同じく、後期高齢者の女性で人気の高まっている趣味を見たものが図表4になります。これを見るとわかる通り、男性よりも数多くの分野で趣味の人気が高まっていることがわかります。
男性と同じ「映画館以外での映画鑑賞」、「テレビゲーム・パソコンゲーム」などに加えて、「園芸・庭いじり・ガーデニング」、「編み物・手芸」、「和裁・洋裁」、「日曜大工」、「絵画・彫刻の制作」、「写真の撮影・プリント」など、数多くの趣味の分野における活動率が高まっています。男性の映画鑑賞一辺倒に比べるとだいぶ異なります。
図表4 後期高齢者女性で人気が高まっている趣味

このように見ると最近の後期高齢者は、男性よりも女性のほうが、圧倒的に好奇心が旺盛で、活動的と言えるのではないでしょうか。
実際、男性よりも女性のほうが、健康寿命、平均寿命ともに長く、それゆえにさまざまなことにチャレンジする時間も長いのです。そうした時間を有意義に自分らしく生きたいと考えている女性が増えている結果が、こうした趣味の多様化につながっているのではないでしょうか。
今後、日本においてさらに後期高齢者の人口は伸び続けます。後期高齢者(75歳以上)人口がピークを迎えるのは、2054年と推計されており、この年には、75歳以上の人口が約2,277万人に達すると見込まれています。
もしかするとこの頃には、今まで考え付かなかったようなおもしろい趣味を高齢者が楽しむ新しい高齢者文化が誕生しているかもしれません。